特別寄稿(会津泰成)
わたしが新潟に移住し
社会貢献活動を始めた理由

生まれた地域に関係なく、すべての子供たちが夢を見て、成長の機会を得られる社会をつくりたい。
わたしはそんな夢を描き、2015年9月、神奈川県川崎市から新潟県三条市にある下田(しただ)という過疎地域に移住しました。
現在は二拠点生活をしながら、下田地域にある小学校跡地を拠点にして「サッカーを軸にした地域貢献活動」に取り組んでいます。
新潟移住のきっかけは、元アルビレックス新潟選手で、当時は新潟市議会議員として地域活動に取り組んでいた友人(梅山修)に、「新潟で地域貢献の仕事をしませんか」と誘われた事でした。
​聞けば、新潟市のお隣にある三条市で、「地域おこし協力隊」という制度を活用して、過疎の進む下田地域の活性事業に取り組み始めたばかりのNPO法人があり、活動メンバーを探している、という事でした。

地域貢献活動は無理をしない
いまできる事を、できる範囲で

下田地域(旧下田村)は2005年5月1日、三条市、栄町と合併され新しい三条市の一部となりました。
面積の9割以上を森林に覆われた山間部にあり、主な産業は農業と林業。少子高齢化が顕著で、地域のコミュニティも失われつつある、いわゆる限界集落の点在する地域です。

 

人口減少は加速度的に進んでおり、最盛期の半分近くまで落ち込んでいます。地域に14あった小学校も廃校や統合で現在は5つまで減少。このまま何もしなければ、いまの子供たちが大人になる頃は、地域から小学校自体なくなってしまう事も十分考えられました。

ただ下田地域の抱える課題は日本全国に点在する他の過疎地域も同じでした。つまり、下田地域で活動し、未来に希望が見出せるような事業が出来れば、それは日本全体を良くする事にもつながるはず。そんなふうに思い、様々な事に挑戦しました。

 

移住してみて初めて、田舎には田舎ならではの魅力があることを知りました。一方、だとしても、そう軽々しく「移住、定住者を増やすために地域活動をします」とは言えない現実も目の当たりにしました。

現在、日本のあらゆる地方で、人口減少対策や都会から移住定住者を呼び込む取り組みがなされています。しかし、実際に目に見えるような成果を上げている自治体はごく僅かです。そもそも仕事は限られ、生活に不便な田舎よりも、衣食住すべてにおいて充実した都会で暮らしたいと考える方が普通かもしれません。

大きなお金や事業を動かす事のできないわたし個人の力など微々たるものです。
とはいえ、地方に来たのに何も「コト」を起こせないまま都会の日常に戻る事も悔しく思いました。いろいろな事に挑戦し、考えた末にたどり着いたひとつの答え、それは

「いま出来ることを、出来る範囲で、長く続けられるスタイルで取り組もう」

という事でした。

まもなく50代も見えて来た自分が、まったく新しい事にチャレンジしてもたかが知れています。

自分を知る、自分を認め、その上で出来る事を出来る範囲で取り組もう。そう思えるようになってからは、紋切り型の地域活性事業に惑わされることもなく、公私とも関わる事が多く自分の強みである「サッカー」を軸にした活動に力を注ぐようになりました。

 

現在は、交流、関係人口を増やすための「サッカー合宿」。地域の小学校で「巡回サッカー授業」。ほか地域唯一のジュニアサッカークラブ、「エストレヤ下田」の代表もしています。

失敗もたくさんしました。

地域を離れるかどうかまで考える程の窮地に立たされた出来事もありました。しかし、そうした自体が起きる度に多くの協力者に助けられ、どうにか活動を続ける事が出来ました。


2018年8月末日をもって、わたしは「地域おこし協力隊」制度の活用できる3年間を終えました。

3年間で多くのつながりが出来、人に感謝される事の喜びを知ったわたしは、下田地域で4度目の冬を迎える事になりました。

移住定住促進といった大きな事はできなかったかもしれませんがいま暮らす人たちのつながりを作る、40人以上の子供たちが所属する「エストレヤ下田」というサッカークラブを作った事で、大人と子供が一緒に楽しめ、地域をつなげる役割は多少なりとも果たせたかもしれません。

いま思う事。それは、地域貢献活動は無理をしない。誰かのために「しなければ」と肩肘張らず、自分自身が楽しいと思える事をコツコツ取り組むほうが、結果的に成果が出せるのではないか、という事です。そして、国からの補助金に頼らず一民間人として事業を作っていくこれからが勝負であり、本当の意味で地域貢献ができるのかもしれません。

新潟に来て知り合ったたくさんの方たち、そして何より「エストレヤ下田」の子供たちの笑顔に励まされながら、これからも「いま出来る事を、出来る範囲で、長く続けられるスタイルで取り組もう」の精神で活動を続けたいと思います。(新潟サッカープロジェクト/リーダー・会津泰成)

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